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顎の音が気になる方へ|顎関節症セルフチェックと対処法
会議中、資料に集中していたはずが、ふと我に返ると奥歯を強く噛みしめていた——そんな経験はないでしょうか。痛みがあるわけではないものの、口を大きく開けると顎の関節でカクッと音が鳴る、あるいは以前より口が開けにくい気がする。受診するほどのことなのか判断がつかず、そのまま様子を見ている方も少なくありません。この記事では、痛みのない軽度の段階から知っておきたい顎関節症の基礎知識と、日中の食いしばりとの関わり、オフィスでできるセルフケア、そして受診を検討すべき具体的な目安について、赤坂デンタルクリニックが解説します。
顎関節症とは|「顎が痛い」「音が鳴る」はそのサインかもしれません

顎関節症とは、口を開け閉めする際に使う顎の関節やその周囲の筋肉に、何らかの不調が生じている状態の総称です。主な症状として、口を開閉したときに顎からカクカク、コリコリといった音が鳴る「関節雑音」、口が大きく開けにくくなる「開口障害」、顎の関節やその周辺の筋肉に痛みを感じる「顎関節痛」などが挙げられます。
ここで押さえておきたいのは、これらの症状がすべて揃わなくても顎関節症の可能性があるという点です。痛みはなく音が鳴るだけ、あるいは開けにくさだけを感じているという段階でも、顎関節症の初期段階である可能性は考えられます。「痛くないから大丈夫」と判断してしまいがちですが、実際には痛みを伴わない軽度の段階から始まっているケースも少なくありません。
また、顎関節症は関節そのものに負担がかかっている場合もあれば、関節を動かす筋肉側に負担が集中している場合もあります。関節由来か筋肉由来かによって、感じ方や現れ方が異なることも珍しくなく、「音は鳴るが痛みはない」「痛みはあるが音は鳴らない」など、症状の組み合わせは人によってさまざまです。ご自身の状態がどのタイプに近いかを厳密に見分ける必要はありませんが、まずは今どのような症状があるかを整理しておくことが、今後の経過を見ていくうえで役立ちます。
まずはご自身の顎の状態がどの程度かを、次のセルフチェックで確認してみましょう。
セルフチェック|あなたの顎の状態を確認してみましょう
以下の項目のうち、当てはまるものにチェックを入れてみてください。1回だけでなく、数日おきに何度か確認してみると、実際の状態がより見えやすくなります。
- 口を大きく開けると、顎の関節がカクカク、コリコリと音が鳴る
- 口を開け閉めする際、顎の左右どちらかに引っかかりを感じることがある
- 指を縦に3本、口に入れようとすると窮屈に感じる
- 大きなあくびをしたときや、大きな声で話したときに顎に違和感がある
- 会議や作業に集中していると、気づくと歯を強く噛みしめている
- 朝起きたときに、顎がだるい、または疲れを感じることがある
- こめかみや頬のあたりの筋肉が疲れやすい、または張っている
- 口を開けたとき、顎が左右どちらかにずれるように動く
- 片側の歯だけで噛む癖がある
- 肩こりや頭痛が慢性的に続いている
該当数の目安
- 0〜2個:現時点で顎への大きな負担はかかっていない可能性がありますが、今後の変化には注意しておきましょう。
- 3〜5個:顎関節に何らかの負担がかかり始めている可能性があります。次の章以降で紹介するセルフケアを取り入れながら、経過を見ていきましょう。
- 6個以上:顎関節症の疑いが考えられます。次の章で紹介する受診の目安もあわせてご確認ください。
顎関節症の主な要因
顎関節症は、単一の原因ではなく複数の要因が重なって起こると考えられています。代表的なものを紹介します。
噛み合わせ
上下の歯の噛み合わせにわずかな不調和があると、顎の関節や筋肉に偏った負担がかかりやすくなります。詰め物・被せ物の高さがわずかに合っていない場合や、歯の移動によって噛み合わせが変化している場合なども、要因のひとつと考えられます。
歯ぎしり・食いしばり
就寝中の歯ぎしりや、無意識の食いしばりによって、顎関節に持続的な力がかかることも要因のひとつです。強い力が繰り返し加わることで、関節や周囲の筋肉に負担が蓄積していきます。
姿勢
うつむいた姿勢が長く続くと、首から顎にかけての筋肉に負担がかかり、顎関節の動きにも影響が及ぶことがあります。デスクワークが中心の方や、スマートフォンを見る時間が長い方は、この要因に該当しやすい傾向があります。
ストレス
精神的な緊張やストレスも、顎関節症に関わる要因のひとつと考えられています。緊張状態が続くと、無意識のうちに顎まわりの筋肉がこわばりやすくなるためです。ただし、ストレスだけが単独の原因となるわけではなく、噛み合わせや生活習慣など複数の要因が組み合わさって症状が現れることがほとんどです。
このように、顎関節症は生活習慣全体に関わる多因子性の症状であり、いずれかひとつを取り除けば解消するとは限りません。次の章では、見落とされやすい要因についてもう少し詳しく見ていきます。
見落とされやすい要因|日中の食いしばりとの関連
歯ぎしりや食いしばりというと、就寝中に起こるものというイメージを持たれがちですが、実際には日中の食いしばりも珍しくありません。特に、パソコン作業やスマートフォンの操作、会議への参加など、何かに集中している場面では、無意識のうちに上下の歯を強く接触させていることがあります。
本来、会話や食事のとき以外は、上下の歯は触れ合わないのが自然な状態です。しかし、資料の作成やメールの返信、オンライン会議など、集中を要する作業が続くと、気づかないうちに歯を噛みしめ続けているケースが見られます。就寝中の歯ぎしりのように音が出るわけではなく、家族や同僚にも指摘されにくいため、本人が最も気づきにくい要因のひとつともいえます。
デスクワークが中心の方や、日中パソコンやスマートフォンに向き合う時間が長い方は、こうした無意識の食いしばりが習慣化しやすく、それが顎関節への負担として積み重なっていくことがあります。強い力で噛みしめていなくても、長時間にわたって歯が接触し続けること自体が、関節や筋肉への持続的な負荷につながる場合があります。
こうした日中の食いしばりへの向き合い方については、次の章でオフィスでも取り組みやすいセルフケアとしてご紹介します。
放置するとどうなるか
痛みを伴わない軽度の段階だからといって、そのまま様子を見続けると、次のような状態につながる場合があります。
顎関節や周囲の筋肉への負担が徐々に蓄積し、口を開けたときの音や引っかかりが強くなる場合があります。また、開口障害が進むと、口を大きく開けることが難しくなり、食事や会話に影響が及ぶこともあります。顎の筋肉は側頭部や首、肩の筋肉ともつながっているため、緊張が波及して頭痛や肩こりとして現れる場合もあります。
こうした変化は、多くの場合ゆるやかに進行するため、本人が気づいた時点ですでにある程度負担が蓄積していることも少なくありません。だからこそ、痛みがない段階からご自身の顎の状態に目を向けておくことが大切です。
なお、症状の進み方には個人差があり、必ずしも一方向に悪化し続けるとは限りません。セルフケアや生活習慣の見直しによって、負担が軽減され落ち着いていく場合もあります。重要なのは、変化に気づいたときに「様子を見てよい範囲か」「相談したほうがよい範囲か」を、次の章で紹介する目安と照らし合わせて判断することです。
オフィスでできるセルフケア

日中の食いしばりへの対処は、特別な道具を使わなくても、業務の合間に取り組めるものが中心です。会議の合間や休憩時間に、次のようなケアを試してみてください。
1分間の顎リセット
椅子に座ったまま、肩の力を抜き、上下の歯を軽く離します。舌を上あごに軽く当て、唇は自然に閉じた状態を保ちます。この状態で深呼吸を3回ほど繰り返すだけでも、顎まわりの緊張がゆるみやすくなります。パソコンの画面が切り替わるタイミングや、会議の休憩時間など、区切りのよいタイミングで行うと習慣化しやすいでしょう。
首・肩のストレッチ
うつむき姿勢が続くと、首から顎にかけての筋肉が緊張しやすくなります。両肩をゆっくり上げて数秒キープしたのち、ストンと下ろす動作を数回繰り返すだけでも、首や肩まわりの緊張を和らげやすくなります。デスクに座ったまま、1分程度でできる範囲で構いません。
「歯を離す」気づきの習慣
パソコンのモニター横やスマートフォンのロック画面など、日常的に目に入る場所に「歯を離す」と書いた付箋を貼っておく方法も有効です。付箋が目に入るたびに、上下の歯が触れていないかを確認し、力を抜いて歯と歯の間にわずかな隙間をつくる状態に戻しましょう。最初は意識的な確認が必要ですが、続けるうちに無意識の食いしばりに気づきやすくなっていきます。
モニターの高さの見直し
画面の位置が低いと、うつむき姿勢が続きやすくなります。モニターの上端が目線と同じか、やや下になる高さに調整することで、首や顎への負担を軽減しやすくなります。ノートパソコンを使用する場合は、スタンドなどで高さを調整するとよいでしょう。
これらはいずれも今日から取り組める内容です。無理のない範囲で、業務の合間に少しずつ取り入れてみてください。
様子を見てよい場合・受診をおすすめする目安
セルフケアを続けながら経過を見てよい場合と、受診を検討したほうがよい場合とでは、期間や症状の程度に違いがあります。以下を目安としてご参考ください。
| 状態 | 目安 |
|---|---|
| 音は鳴るが痛みはなく、数日程度で気にならなくなる | セルフケアを続けながら経過を見てよい可能性があります |
| 口の開けにくさや音が1〜2週間以上続いている | 一度受診をご検討ください |
| 音や開けにくさが徐々に強くなっている、頻度が増えている | 早めの受診をおすすめします |
| 指を2本入れようとしても強い窮屈感がある、大きく口が開けられない | できるだけ早く受診してください |
| 顎に痛みを伴う、または急に開けにくくなった | すみやかに受診してください |
上記はあくまで一般的な目安であり、症状の経過には個人差があります。表の内容にかかわらず、気になる状態が続く場合や不安を感じる場合は、自己判断で様子を見続けず、早めにご相談ください。
歯科医院で行う検査と対応
歯科医院では、視診による口腔内の確認、開口量(口をどの程度まで開けられるか)の測定、噛み合わせのバランスの確認などを通じて、顎関節の状態を把握します。必要に応じて、顎の動きや関節の状態をより詳しく確認する検査を行う場合もあります。
こうした確認は、いずれも短時間で終わるものが中心です。問診で経過をお伺いしたうえで、口腔内の状態や開口量、噛み合わせを順に確認していくため、初めて受診される方でも大きな負担なく進められます。
これらの確認をもとに、マウスピースなどを用いた対応が検討されることもありますが、具体的な治療方法や装置の詳細については、咬合改善のページで詳しくご案内しています。あわせてご確認ください。
赤坂デンタルクリニックの検査・相談の流れ

当院では、次のような流れで顎関節の状態を確認しています。
1. 問診:気になる症状や、いつ頃から続いているかについて詳しくお伺いします。
2. 視診:口腔内の状態や、噛み合わせに関わる部分を確認します。
3. 開口量・顎関節の動きの確認:口をどの程度まで開けられるか、開閉時の音や引っかかりの有無を確認します。
4. 噛み合わせの確認:上下の歯の当たり方に偏りがないかを確認します。
5. 必要に応じた検査:症状に応じて、顎関節の状態をより詳しく確認する場合があります。
6. 対応方針のご提案:確認した内容をもとに、セルフケアを続けながら経過を見る場合や、マウスピースなどの対応が考えられる場合について、選択肢をご説明します。
対応の内容には個人差があり、一律の結果をお約束するものではありません。一人ひとりの状態に合わせて、無理のない方針を一緒に考えていきます。
よくある質問
- Q顎関節症は自然に治まりますか。
- A
セルフケアや生活習慣の見直しによって、症状が落ち着く場合もあります。一方で、噛み合わせなど別の要因が関わっているケースもあるため、症状が続く場合は一度確認することをおすすめします。
- Qストレスがなくなれば治りますか。
- A
ストレスは顎関節症に関わる要因のひとつと考えられていますが、単独の原因とは限りません。噛み合わせや生活習慣など、複数の要因が組み合わさっていることが多いため、ストレスの軽減だけで解消するとは限らない点にご留意ください。
- Qマッサージだけで様子を見てよいですか。
- A
軽度の緊張であれば、セルフマッサージやストレッチで和らぐ場合もあります。ただし、音や開けにくさが長く続く場合や悪化している場合は、マッサージだけに頼らず、一度歯科医院での確認をおすすめします。
- Q音が鳴るだけで痛みがない場合も受診すべきですか。
- A
痛みがなくても、顎関節症の初期段階である可能性があります。特に音や開けにくさが1〜2週間以上続いている場合は、一度受診をご検討ください。
- Q会社帰りでも受診できますか。
- A
当院は平日19時まで診療しており、赤坂駅から徒歩30秒とアクセスも良いため、お仕事帰りにお立ち寄りいただける方も多くいらっしゃいます。ご都合のよい時間帯について、お気軽にお問い合わせください。
- Q子どもの顎の音も同じように考えてよいですか。
- A
成長過程にあるお子さまの場合、大人とは経過の見方が異なることがあります。気になる場合は、大人の場合とは分けてご相談ください。
まとめ
顎の音や開けにくさは、痛みがない段階であっても顎関節症のサインである可能性があります。特に、日中の会議や作業に集中しているときの無意識の食いしばりは、見落とされやすい要因のひとつです。まずはセルフチェックでご自身の状態を確認し、オフィスでできるセルフケアを取り入れながら、症状の変化に目を向けてみてください。
数日で落ち着く程度であれば経過を見てよい場合もありますが、1〜2週間以上続く場合や、徐々に悪化していると感じる場合は、無理をせず一度ご相談いただければと思います。
赤坂エリアでお仕事をされている方、会議や作業中の食いしばりが気になる方は、当院までお気軽にお問い合わせください。
監修者情報

吉野 綾
神奈川歯科大学卒業後、複数の医療法人で臨床経験を重ね、医療法人社団 京和会にて院長を歴任。現在は同法人理事として運営に携わり、赤坂デンタルクリニック院長として診療に従事している。
赤坂の歯医者 インプラント治療・
矯正治療・審美歯科治療
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